コラム
2010年度 「変革の時代への挑戦」
コラム「変革の時代への挑戦」は豊橋創造大学大学院の各教授により、
時代の変革をテーマに、中部経済新聞にて連載しています。毎月第2水曜日に掲載!
vol10. IFRSめぐる議論 世界のモノサシ経営に影響
9月はじめに、東京と大阪で開催された会計学関連の学会に参加した。学会での議論の論点は専ら会計基準として「世界標準のモノサシ」といわれるIFRS(国際財務報告基準)を自国の会計基準より優先させるべきか否かであった。
企業経営は経済のグローバル化、資本の自由化を背景に各国で資金調達するために、投資家に対する会計情報のニーズとして、比較可能性を確保し、透明性の高い財務諸表の提供が求められている。会計基準は、これまで各国が独自に作成され発達してきたが、これを統一的なものとするよう、IASB(国際会計基準審議会)がIFRSを提唱した。会計基準設定の考え方に、原則主義と細則(ルール)主義の2つがある。前者には、会計処理を厳密なルールで縛るのではなく、その判断や会計慣行に幅をもたせたほうが、経営実態をより良く示すことができるという前提がある。一方、後者は細かい規則や数値基準を遵守させる考え方である。IFRSは、原則主義でEU、BRICSをはじめ世界100ヶ国以上の国々が採用している。わが国や米国は、細則主義による会計基準であるが、IFRSとの差異を縮小する努力をしている。
IFRSを巡っては、その導入にあたり経営者の意識改革が今後求められよう。財務数値への影響はもちろん、関連した業務プロセスやシステムさらに企業の中長期戦略や各種の経営戦略にも影響を及ぼすであろう。
教授 中野 一豊