コラム

2010年度 「変革の時代への挑戦」

コラム「変革の時代への挑戦」は豊橋創造大学大学院の各教授により、
時代の変革をテーマに、中部経済新聞にて連載しています。毎月第2水曜日に掲載!

vol12. 日本企業が抱える課題 事業認識と政策目標必要

バブル崩壊後の「失われた20年」といわれる時を経た現在、日本の多くの企業に元気が見られない。人口減少と少子高齢化が同時に進行し、年金など社会保障制度の破綻もささやかれている。さらに、国と地方の債務残高の合計も昨年3月末で1千兆円を突破した。このような社会的・経済的な雰囲気が市場や企業のマインドに大きな影響を与えていることは確かであろう。
また、アジア各国が、とりわけ中国や韓国が台頭し競争を熾烈にしている。この状況下において、今日日本の企業が直面していることは、いくつもの大きな変革を一度になし得なければならないということであろう。このためには、企業が次の20年、30年先に正しい方向に向かって進む上で、何をビジネスとし何をなすべきかを考え、幅広い目的を作らなければならない。
この思考作業には、事業に対する空間的認識と時間的認識、さらに組織としての政策目標の3つが欠かせない。空間的認識は、世界の中で地政学的・経済的に観てどこでビジネスを行うかの認識であり、時間的認識とは、過去・現在・未来という時間軸の中で未来からみて現在をどう結び付けていくかの認識である。
また、企業組織が長期的に存在するには政策目標が不可欠である。組織が何のためにあり、どういう方向に向かっているかがわかっていなければならない。組織の理念は、政策目標に合致しているか、そのために皆が働いているかどうかに尽きる。これがない組織には、明日がない。

今なすべきことは、これら3つのことを「白鶴高飛不追群」で考えることが必要である。この「群」とは下界、現実のことであり、たまには高い所に立って下界、現実を見渡せということである。今のように閉塞感が立ちこめる時にこそ、一度現実を離れて、「こうありたい」ことは何かを考えるよい機会である。

教授 佐藤 勝尚

専門:ビジネスシステム、マネジメントシステム、技術・生産戦略(MOT:技術経営、イノベーションと経営)、組織戦略・人的資本マネジメントなど

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