コラム
2010年度 「変革の時代への挑戦」
コラム「変革の時代への挑戦」は豊橋創造大学大学院の各教授により、
時代の変革をテーマに、中部経済新聞にて連載しています。毎月第2水曜日に掲載!
vol4. リアリティのある情報提供のすすめ 集合知情報源の優位性
近年、企業に関する情報は、インターネット上に予想もしない形で露出し、小さな出来事が広報室への電話突撃に発展することも珍しくない。
「ウィキペディア」や「2ちゃんねる」など、ユーザーが自ら情報を提供し、集積していくタイプの情報源を、ここではインターネット上の集合知情報源とよぶ。なぜこのような情報源が、多く利用されるのだろうか。
就職活動時や取引開始時に、人々は対象企業について情報を得るために、どのような情報源を利用するかを考えてみよう。まずは企業の公式サイト、そして簡潔にまとまっている「ウィキペディア」、さらに関心の高い場合は手間をかけて「2ちゃんねる」の記事やプログ、ツイッターなども利用するだろう。
公式サイトには、客観的な事実情報が掲載されるが、ネガティブ情報は露出しない。「ウィキペディア」は、検証可能性原則により嘘やノイズは少なく、また、ネガティブ情報まで掲載されるため、短時間で情報を把握するには都合の良い情報源である。「2ちゃんねる」は、ノイズや嘘が多いものの、主観的な評価情報も伝達される。「契約件数は偽装だ」「風通し悪すぎ」「かわいい女子社員が多い」などのリアリティのある評価情報や噂は、利用者にとって必要であっても、公式情報源には露出しない。
多くのノイズの中から関連する情報を見つけだす努力をいとわず、かつ、それが正しそうかを見極める力さえあれば、これらの情報は有用であろう。
つまり、条件によって「2ちゃんねる」などの情報源は、ネガティブな評価情報を獲得できるという点で優位性が高い。これはブログやツイッターに関しても同様である。
企業自ら公式な情報源で伝えきれない情報を、多様な手段で提供しないと、受け手に誤った情報をうのみにされてしまう危険性が高いといえるだろう。電話突撃、偽装疑惑などが生まれないために、ネガティブな情報も提供する、リアリティを伝える企業のスポークスマンを育てる—などが必要とされる。
准教授 川北眞紀子