コラム

2010年度 「変革の時代への挑戦」

コラム「変革の時代への挑戦」は豊橋創造大学大学院の各教授により、
時代の変革をテーマに、中部経済新聞にて連載しています。毎月第2水曜日に掲載!

vol5. 消費者が捉えたカテゴリー ″視点″で決まる自社の競合

 マーケティング近視眼という言葉がある。アメリカのレビット氏が提唱したもので、自社の事業の定義を近視眼的に見ると事業発展の機会を見失うというものである。鉄道会社は自社の事業を鉄道事業ではなく、輸送事業と定義することで、航空やバスなど多様な事業の可能性を見据えることができるという。

 では、ある消費者が名古屋から東京へ出張する際、新幹線の競合は何だろう。輸送手段と捉えたならば、高速バスや高速道路だろう。しかし東京での会議が2日連続なら、ネットのつながるカフェとビジネスホテルは、新幹線の競合になりうる。
 また、ある教育プログラムでは、遠隔地と大学とをテレビ会議システムで結び、授業や飲み会をしている。さらに動画共有サイト経由では、会議を簡単にライブ中継することができる。参加者はどこででも視聴でき、ツイッター経由でつぶやき参加することさえできる。この場合、新幹線の競合はテレビ会議システムや動画共有サイト、ツイッターということになる。

 消費者が「移動手段」として捉える選択肢の集合であるところのカテゴリーと、「会議に参加する手段」として捉えるカテゴリーでは、その中にエントリーするメンバーは全く異なる。
 たとえばマクドナルドの競合は何だろう。A君に尋ねるとロッテリア、モスバーガーと答えた。B君は吉野家、コンビニと答えた。C君はジャスコ、ゲーセンと答えた。D君はネットカフェ、駅の待合室と答えた。
 彼らの頭の中では、マクドナルドはどのようなカテゴリーのメンバーとして認識されているのだろうか。A君は「ハンバーガー屋」、B君は「手早くとれる食事」、C君は「友だちと暇つぶしをするところ」、D君は「無線ランが使える場所」。このように、捉えているのである。それぞれマクドナルドヘのニーズが異なり、それにより競合が変化している。
 このように技術だけでなく、消費者の捉え方によって競合は異なる。消費者の視点から、自社の競合を再検討すべきである。

准教授 川北眞紀子

専門:マーケティング、消費者行動、広告など

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