コラム
2010年度 「変革の時代への挑戦」
コラム「変革の時代への挑戦」は豊橋創造大学大学院の各教授により、
時代の変革をテーマに、中部経済新聞にて連載しています。毎月第2水曜日に掲載!
vol9. 太陽熱利用を見直す エネルギー活用も適材適所
ライフスタイルの変化や、世帯数の増加等の社会構造変化の影響を受けて、家庭部門のエネルギー消費は著しく増大し、2008年には国内の最終エネルギー消費全体の約14%を占めている。産業部門のエネルギー消費が全体の約43%であることを考えると、この値がいかに大きな値であるかが分かる。
こうしたことを背景に、高断熱・高気密化や太陽光発電を柱として、住宅の省エネルギー化が進められている。住宅における省エネルギーヘの取り組みをさらに進めるために、太陽熱利用を再度見直す時期に来ている。
住宅用太陽光発電システムの導入量は、2005年の補助金制度の打ち切り後に減少したが、その後の補助金制度の復活や余剰電力の買取単価の大幅な引き上げを受けて再び増加している。
一方の住宅の太陽熱利用を見ると、太陽熱温水器の販売量は石油危機直後の1980年には全国で約80万件に達したが、その後、屋根の上に貯湯槽があるというデザイン上の問題や一部業者のメンテナンス体制の不備等が問題となり、現在では年間約6万台まで激減している。
しかしながら、太陽光発電の年平均効率が10〜15%程度であるのに対し、太陽熱利用システムの効率は40〜60%と高い。また、現在主流になりつつある強制循環式の太陽熱給湯システムでは、集熱器は屋根に、貯湯槽は地上に設置するため、屋根への負担という心配も少ない。
各住宅が貯湯槽を持つことには、災害時への対応という点からも大きなメリットがある。現在、災害による断水時に必要な飲料水を確保するために、多くの地方自治体は多額の費用をかけてインフラの整備に取り組んでいる。貯湯槽を住宅に備えることで、日常生活の中でこの問題への対応も可能になる。
戸建て住宅では、そのエネルギー需要密度は低く、また暖房や給湯で必要となる熱も80℃以下の低温で十分であるように、要求する熱エネルギーの質も比較的低い。太陽エネルギーは、エネルギー密度が希薄であるという大きな欠点を持つが、このような場所であれば最大限に活用することができる。今後、エネルギー需要自体を削減する取組を進めるとともに、各エネルギーをその特性に合わせて適切な場所で積極的に活用する取組みが重要である。
教授 見目 喜重