コラム
2011年度 「教育新生に向けた改革」
コラム「教育新生に向けた改革」は豊橋創造大学大学院の各教授により、
時代の変革をテーマに、中部経済新聞にて連載しています。毎月第2水曜日に掲載!
vol11. リハビリで最後まで人間らしく
認知症のリハビリテーションから見えた理学療法士教育の今後
1963年にリハビリテーションを支える理学療法士教育が欧米から移植され、半世紀が経過しました。リハビリテーションは対象者の病気の時期に応じて急性期、回復期、維持期と区分ごとに実施されます。急性期の生死を彷徨っている状態から治まり、回復期で生活に戻る準備をし、退院した後も健康を維持するための具体的方法を提供します。
私は理学療法士となって30年で、25年教育にも関わり、15年前に迷込んだ認知症病棟で毎週未を過ごしています。それ以来、認知症あるいは意識を失われたお年寄りになされるケアや治療は果たしてリハビリテーションの範疇なのか、それはどのような意味を持つのか。明確な理念が見出せない状態で、多くの方の死を見送りました。
数年経過したころ、茨城県立医療大学病院の大田仁史先生の「終末期リハビリテーション」に出合いました。平易な文章ですが、維持期から終末期へかけてのリハビリテーションのあり方、この時期のリハビリテーションに関わる者の使命と責任、と多くの示唆が体に浸み込むように感じたのを覚えています。
「加齢や障害のために自立が期待できず、自分の力で保全できない人々に対して、最後まで人間らしくあるように医療、看護、介護とともに行うリハビリテーション活動」として位置づけがあれば、我々理学療法士がなすべきことは明確になってきます。何も力まずとも、これまでのリハビリテーションの活動で獲得した技術と知識を基礎に、個別の患者から出される応用問題を丁寧に解けばよい訳で、そこから先の対応方法は変わったと自分でも感じています。それからは終末期リハビリテーションを体系づける要素に関して、まだ満足できませんが大筋を押さえることがでさたと感じています。
今年初め、我校の特定研修施設の光生会病院との共催で300人を超える参加者にその考えを講演しました。
参加された方に請われて施設の研修会へ幾度も出向き、中国の医学院とその病院での講演旅行へと繋がり、中国との共同研究を進めることになりました。今後は、近隣の施設と往来して経験を増やし、学生も参加させる実践的試みを考えています。
教授 清水 和彦