コラム

2011年度 「教育新生に向けた改革」

コラム「教育新生に向けた改革」は豊橋創造大学大学院の各教授により、
時代の変革をテーマに、中部経済新聞にて連載しています。毎月第2水曜日に掲載!

vol5. 変化読み取り時代に挑め 経営も規模から中身重視へ

 今から30年ほど前に読んだ日本経済新聞に載ったある社長さんの「交遊抄」を思い出し、皆さんに披露しよう。その社長さんは、ドイツの動的貸借対照表論で著名なシュマーレンバッハ研究の権威者、土岐政蔵先生の卒業時に言われた言葉に深い感銘を受けたという記事である。

 企業の経営活動の内容を1年間まとめて関係者に伝達する情報源は財務諸表である。その中心は、経営成績を示す損益計算書(P/L)と財務状態を表す貸借対照表(B/S)の2つである。この二つの財務諸表の関連について、「2よりも大きな1」があるとの内容であった。会社というものは、いくら利益を出したかというP/Lがどうしても脚光を浴びるが、B/Sという費用倉庫の中ががっちりと納まってない状態でのその数字は、一時的な見栄張りであり信用するに足りない。逆に、P/Lで多少の見劣りがしてもB/Sに力があれば自信をもって前ヘ進めば必ず逆転できる。人生も同じであるとの教えである。

 華やかな舞台に立った時、表面に現れたP/Lで喜怒哀楽することなく、冷静に総合力である自分自身のB/Sをよく分析し、時にはこれではいけないと反省し、時には何くそと前途に希望をもってがんばる勇気をもたねばならない。まさに、人生におけるバランスの論理そのものではないだろうか。

 ところが、近年このバランスの論理が必ずしも正しいとは言い切れない状況が生じてきた。企業経営の指標に第3の財務諸表であるキャッシュ・フロー計算書が導入された。これまで、P/LとB/Sさえ見れば、会社の経営実態像を把握できると思われていた。しかし、二つの財務諸表だけでは一会計期間のキャッシュの流れは分らない。企業がどの活動からキャッシュを獲得し、それをどのような活動に運用したかの情報が必要とされる時代になった。「勘定合って銭足らず!」「黒字倒産!」を防ぐキャッシュフロー経営が重視され始めたのである。

 企業価値の善し悪しの判断材料も、規模の大きさの目安であった固定資産の保有から、IT社会の進展で規模の大小は問題とされず、むしろソフトの中身が重視される時代へと変化している。こうした変化に、目を向ける必要性を認識し、これからの時代に挑戦する力を養わなげればならない。

教授 中野 一豊

専門:財務会計論、国際会計論

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