コラム

2011年度 「教育新生に向けた改革」

コラム「教育新生に向けた改革」は豊橋創造大学大学院の各教授により、
時代の変革をテーマに、中部経済新聞にて連載しています。毎月第2水曜日に掲載!

vol7. 常に考え続ける力を育む 大学ユニバーサル化に伴う大学教育の方法

 M ・トロウは『高学歴社会の大学』において「教育機会の拡大にともなって、大学はエリート型・マス型・ユニバーサル型へと段階的に移行していく」と論評している。日本の大学・短大への進学率は1990年の36.3%から2010年の59.4%のように20ポイント以上上昇し、大学のユニバーサル化が進んでいる。平成21年若年者雇用実態調査(厚生労働省)によると正社員比率は大学卒業者で82.7%、高等学校卒業者では56.3%であり、この高学歴者の正社員比率の高さが、進学率を押し上げる一つの要因である。このことからも言えるように学生の就業力育成が大学に期待されている。

 この大学のユニバーサル化に伴って、2008年に中央教育審議会から総合的学士力についての答申がなされた。その答申では、知識教育に加えて、コミュニケーション・スキルや問題解決力などを含む汎用的技能や自己管理力、リーダーシップ、倫理観などの態度・志向性も学士教育課程に位置付けられている。また、経済界からの若年者教育への要望を踏まえた経済産業省の「社会人基礎力」に関する教育事業を通して、大学生の就業力の育成が支援されている。

 大学教育の本質は、真理の探究であり真理を究めようとする志とその実現方法を創造できる能力の涵養である。その過程を通して自主自学の精神や行動規範を修得することによって、変化の激しい社会ヘ順応して新分野を開拓できる能力、すなわち就業力の育成がなされてきた。近年、就業力育成を深化させて、行動から得た経験知・体験知や集団の中で問題解決する集団知に基づいて知識を総合化する教育が試みられている。学生がグループで問題解決に当たる中で、必要な知識や情報を収集し、それをグループの中で共有して問題の解法もしくは対処方法を考案し、そして行動するよう計画された教育方法である。
新しい環境下で主体的な学習と行動を推進させる効果が期待されている。本学においても課題解決型のプロジェクト活動をカリキュラムに取り入れ、学生の自律的学修力の養成の試みを始めた。大学ユニバーサル他の中で学生の自律的学修を形成し、生涯にわたって考え続ける力の養成こそが大学教育の使命である。

教授 三好 哲也

専門:ソフトコンピューティング、データサイエンス、ヒューマンインターフェイス

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