コラム
2011年度 「教育新生に向けた改革」
コラム「教育新生に向けた改革」は豊橋創造大学大学院の各教授により、
時代の変革をテーマに、中部経済新聞にて連載しています。毎月第2水曜日に掲載!
vol9. 主体的な健康づくり提案 社会保障制度を支える科学と教育
東日本大震災から半年が経過し、ようやく復興ヘ向けた本格的な取り組みが動き出す気配が感じられるようになったが、その財源確保が大きな政治問題となっている。デフォルト危機がささやかれるギリシャ以上に、我が日本国も巨額の財政赤字を抱えており、震災復興費用の大半を時限的な増税で賄うことを計画している。
こうした一時的な財政支出もさることながら、我が国はもう1つ重要かつ大きな財政問題を抱えている。
平成20年度の国民所得に対する社会保障給付費の割合が過去最高(26.76%)となるなど、肥大化する社会保障関係費への対策である。すでに世界屈指の長寿国家である我が国において、年々増加する社会保障関係費に対する手当について、国の財政収支の改善を狙う税制との一体的な改革を行う必要があるが、未だ議論の糸口も見えない状況である。
一方で、こうした制度改革と並行して、政府の策定する制度に頼らない別の取り組みが必要である。「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)(平成21年制定、平成20年改訂)」にあるように、国民自らが主体的に健康づくりに取り組むための環境整備が今まさに求めている。
政策に支えられた大学などの教育研究機関における先進的な知の探求と集積と、こうした研究成果の社会への還元という、産学官連携が活発になっているものの、人々の求める「健康の多様性」からか十分な成果を挙げているとは言い難い。
様々なライフステージにあり多様なニーズを持つ人々の健康寿命の延伸や生活支援に応えるためには、学問領域の壁を越えた超学際的な教育研究が必須であろう。
豊橋劃造大学では、「健康長寿の実現」を目指して研究・教育を推進する大学院健康科学研究科(修士課程)を開設した(平成22年4 月)。「健康」に対して実践的な研究から分子生物学的アプローチまで、幅広い教育研究活動を展開している。
健康保健医療関連の有資格官者はもちろん、健康科学分野の専門的知識の修得や研究開発を志す方にも広く門戸を開放している。行政機関や産業界の要請にも応える体制も整備されている。来春には、最初の修了生を地域に送り出す予定である。
教授 後藤 勝正