コラム
2012年度 「産業界の改革に向けた提言」
コラム「産業界の改革に向けた提言」は豊橋創造大学大学院の各教授により、
時代の変革をテーマに、中部経済新聞にて連載しています。毎月第2水曜日に掲載!
vol1. 経営者に求められるビジョンとリーダーシップ
会社のあり方を明確に
昨今、コンプライアンスの議論が高まっている。その背景には企業の度重なる不祥事と社会の批判の高まりがある。具体的には内部告発の増加、公益を無視した企業への厳しい視線、それに伴う行政処分や罰則の強化、会社経営陣に対する責任追及の増大などである。
こうした状況下で多くの企業がコンプライアンス実施体制の導入を進めているが、実効がどれだけ上がっているかというと疑問がある。実際、最近でも大企業の不祥事が続発している。何故、法令違反はなくならないのか?既にコンプライアンス実施体制を整備した企業は次に何をすればよいのであろうか?防止体制の整備は、不祥事の発生防止に効果的であるが、体制作りだけでは、効果が薄い。
このようなコンプライアンス経営を意味あるものにするためだけにとどまらず、今まさに日本企業は、さまざまな面で、経営者のビジョンとリーダーシップのあり方が問われている。
今日のような混沌とした時代に企業経営を成功させるには、その基礎となるビジョンを明確にして従業員に伝えることが不可欠である。と同時にそれらを実行する会社のあり方を語らなくてはならない。ワーク・ライフ・バランスに配慮し、いかなる法令違反も認めない職場・会社を作りながら、売り上げや利益目標の達成を目指さなくてはならない。
それには、経営者は従業員にそして他のステークホルダーにコミットし、実現のための計画を政策的に示さなくてはならない。さらに時代の要請に即した報酬と労働の在り方をも再検討するべきである。また、新しい労働組合の組織、会社との関係を作ることも緊急に行うべき課題である。
こうした多くの分野で新しい施策を行うことは、改革に伴うコストの増加を妥当なものにする効果があるだけでなく、従業員と共通の問題意識を持って改革に取り組むことを可能にするのである。
教授 佐藤 勝尚