コラム
2012年度 「産業界の改革に向けた提言」
コラム「産業界の改革に向けた提言」は豊橋創造大学大学院の各教授により、
時代の変革をテーマに、中部経済新聞にて連載しています。毎月第2水曜日に掲載!
vol11. 一億総ネットユーザー社会におけるマーケティング
ユビキタスネット社会を支えるインフラとして、ブロードバンドネットワーク、モバイル端末、クラウドサービス、これらを不法な利用から保護するネットワークセキュリティ技術が不可欠である。近年の技術革新によって、これらの個別技術の進展が著しい。iPhoneやAndroid端末などのスマートフォンは常に携帯され、あらゆる環境へアクセスできる端末(万能端末)に進化しつつある。インターネットへのアクセスだけでなく、AV機器や家電製品の制御、自動車やホームセキュリティの確認・設定などが手元で行える万能端末になりつつある。さらに、4G-LTEサービスも開始され高速ブロードバンド通信を背景にして、スマートフォンの普及は、今後ますます加速されると予想される。
このようにケータイからスマートフォンへの機種変更により、端末機としての機能に大きな差が生じる。利用者にとってこれまでのケータイでは体験できなかった機能が利用できる。例えば、現実の風景にコンピューター上の地図などの情報を重ね合わせてユーザーに提示する拡張現実(AR)、クラウド系のデータストレージサービス、語学学習などのサービスが、スマートフォンで新たに利用可能である。このように端末の進化とLTE通信の開始など通信能力の向上により、利用者のユビキタスネット環境が格段に改良されている。
このような万能端末の普及が格段に進む中で、その状況を企業の事業展開の中で考慮せざるを得ない状況になっている。サプライヤーにとって複数のメディアへの情報伝達はコストも掛かり負担は大きいが、電話としてスマートフォンを常に携帯することを考えると、端末の表現力や訴求性を活用した新たなマーケティングが不可欠である。利用者の中でも万能端末をどのように利用し活用するかがまだ確定していない中で、利用者にとって利便性の高いサービスの提供によって、企業としての訴求性を維持できる仕組みの創造が求められている。複雑化、多様化する市場への一つのアプローチとして、万能端末へのアプローチが今後ますます重要になる。企業にとっても新しい市場創生に伴った行動が求められている。
教授 三好 哲也