コラム

2012年度 「産業界の改革に向けた提言」

コラム「産業界の改革に向けた提言」は豊橋創造大学大学院の各教授により、
時代の変革をテーマに、中部経済新聞にて連載しています。毎月第2水曜日に掲載!

vol5. 現金創出速度が決め手に 
キャッシュフロー経営と企業価値

 企業の経営活動に欠かせない方針を意思決定するには、会計データに関する分析が必要だ。企業経営に持続可能性を求めるには、キャッシュフロー経営が不可欠である。

 キャッシュフロー経営とは、会社にありがちな経営戦略や経営計画などにおける誤りを犯さないようにキャッシュ(現金及び現金同等物)の管理を伴った経営をすることである。会社の儲けを示す利益や会社の財務内容を示す資産や負債の状況も重要であるが、会社の倒産を防御するためには、キャッシュフロー経営を重視したい。現金創出能力を表わすキャッシュフロー経営とは、キャッシュ化への速度をいう。当然のことながら、 ①在庫の回転日数を減らす、②売上債権の回収速度を速める、③仕入債務を取引先との交渉でできるだけ先延ばしすることにある。

 キャッシュフロー経営を遂行すれば、その企業の企業価値を高めることにも繋がる。企業価値とは、一般に「企業が将来にわたって生み出すキャッシュ・フローの現在価値の合計額」といわれる。中小企業においては、株式市場をはじめとする公の資本市場が原則的には存在しないため、資金提供者は限定されている。資金提供者が制限されるのは、資金の運用規模が小さいためであり、決して仕事の良し悪しを評価するものではない。限定的な市場ではあるものの、独自の技術を持ち、存在感を高めている中小企業も多い。市場が小さいために不特定多数の投資家から資金を調達する必要はないが、その企業なしでは大企業の経営が成り立たないという中小企業の存在は大きい。

 こうした中小企業の企業価値は、上場企業と同様に将来の仕事を期待し、将来のキャッシュフローを現在価値に置き直すことで求められる。

 出資者が経営者である場合であっても、企業の仕事を評価するという意味で、自社の企業価値を高めることに関心を持たなければならないことに変わりはない。企業価値に対する基本的な概念は、上場・非上場や規模の大小に関わらず、全ての企業にとって同一なのである。

教授 中野 一豊

専門:財務会計論、国際会計論

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