コラム

2012年度 「産業界の改革に向けた提言」

コラム「産業界の改革に向けた提言」は豊橋創造大学大学院の各教授により、
時代の変革をテーマに、中部経済新聞にて連載しています。毎月第2水曜日に掲載!

Vol6. ロジスティクス管理空洞化現象の警鐘

戦後我国に於ける合理化の大雑把な変遷は、先ず戦後の物不足を補う為に生産の合理化からスタートし、次いで、マーケティング、事務、情報システム、研究所、物流の合理化を経て脈々と現在に到っている事は周知の事実である。一方、政府主導の物流合理化が、1965年に開始して以来、 1970年代からロジスティクス時代に移行し、更に1990年代にはSCM時代へと発展し、此れと相俟って3PL時代の到来を見るに到った。

3PL時代の到来は、荷主は、ロジスティクス施設並びに機器に就いて、「投資無し(No Investment)、資産なし(No Asset)、現場運営無し(No Operation)」、と云う所謂、”3N”思考が一般となり、3PL企業の企業水準の向上を背景に、荷主は本来のビジネスに自社の経営資源を集中特化し、更なる発展を期すべきであるとする経営思想が支配的となった帰結と言える。

他方、3PL企業の特徴は、荷主に代わって3Nを遂行する事であるが、その前提条件は夫々の3PL企業が、自社固有の核となる能力、即ち、“コア・コンピテンス“(Core Competence)を持つことである。然しながら、昨今の3PL企業は、未だ、核となる能力を持つ企業は少なく、ましてや、現場管理を実践的に改善指導している企業は極めて稀である。つまり、例え本社部門で該当組織を所有していても、配送センターの現場に行き、改善指導をしている企業は皆無に近いと云う事である。その大きな理由としては、改善指導に伴う費用負担と改善効果のゲインシェアが確立されていない事等が考えられる。

然し、本質的な問題は、荷主サイドが、3PL依存度を高める余り、本来、自社で実行すべき現場指導を3PL企業に依存すると共に、自社のロジスティクス管理部門を縮小し、現場管理と指導を不可能な状況に追い込んでしまった事と3PL企業は3PL企業の本来のミッションであるロジスティクスの合理化を無視したからに他ならない。結果として、現場改善は、3PL企業と荷主の狭間に沈み、両者がまともに管理しない状態を作り、“改善の空洞化乃至管理の真空地帯”をもたらした訳である。可及的速やかに、荷主におけるロジスティクス管理部門の再構築・再教育と3PL企業の現場改善の新たな取り組みと教育を以って空洞化現象に対処すべきである。

客員教授工学博士 唐澤 豊

専門:ロジスティクス・マネジメント

2012年度一覧に戻る

もっとSOZOを知ろう。SOZOとつながろう。

PAGE TOP