コラム
2012年度 「産業界の改革に向けた提言」
コラム「産業界の改革に向けた提言」は豊橋創造大学大学院の各教授により、
時代の変革をテーマに、中部経済新聞にて連載しています。毎月第2水曜日に掲載!
Vol7. ROA向上に貢献するロジスティクス力
ロジスティクスの目標は、①在庫統制と②競争力の向上であり、結果としてROAの向上に貢献することにある。ROA(総資産利益率)を大きくするためには、業務費用を大きくするか、在庫を削減する必要があり、ROAとは、「スループットから業務費用を引いたもの」を「投入される経営資源を代表する在庫等」で割ったものである。
つまり、ロジスティクス・マネジメントは、経営目標との関連から見ると、①売上増大、②コスト削減、③資産活用、キャッシュ・フロー増加に貢献することにもなる。ロジスティクス・マネジメントの効果は、経営戦略へのきわめて重大な貢献という点に集約される。したがって、ロジスティクス・マネジメントの使命とは、「仕組みによる経営戦略の実現」にあるといってよい。
今回は構成員個々の決定スキルではなく、組織の選択肢の選定と決定について述べる。組織における選択肢の選定には、やはりミーティングが重要となる。多数決ではなくコンセンサスが得られるように行うタイプの会議である。また、選択肢もある種のアイディアなので、発想法としてブレーンストーミングが有効である。ブレーンストーミングは上手くいかない印象があるかもしれないが、事前の状況情報共有やメンバー個々の事前準備の不備や手法への不理解等が失敗の原因となる場合が多い。
ロジスティクスが提供する「顧客サービス」は、売上増大に役立つためのものでもあり、ロジスティクス・コストならびにロジスティクス・システムと連動された製造原価削減は、全社的なコスト削減に貢献する。さらに、在庫削減を通じた流動資産の圧縮は、資産活用に貢献できるし、倉庫に保管された製品、半製品、原材料は、販売されない限り、キャッシュとして回収できない(ロジスティクス・システムは売れないものを作らない、仕入れない仕組みである)。また、物流業務の外注化や共同配送等による自家用トラック、倉庫等の施設の削減は、固定費用の流動化につながることになる。
このように、一般的経営指標であるROA(総資産利益率)やROE(自己資本利益率)の中でのロジスティクスの貢献度は、図のように反映されることになる。
教授 石田 宏之