コラム

2012年度 「産業界の改革に向けた提言」

コラム「産業界の改革に向けた提言」は豊橋創造大学大学院の各教授により、
時代の変革をテーマに、中部経済新聞にて連載しています。毎月第2水曜日に掲載!

vol9. 人材の価値を高めるために

企業を取り巻く環境は急速に変化するだけでなく、不連続に変わっていく時代にある。このような環境のもとで生じる経営問題を解決していくには、これまで以上に高い経営能力が要求される。ここでいう経営能力とは「専門知識」に加え、「意思決定力」がその中核をなしている。

「専門知識」とは特定の職能領域において必要とされる知識を指す。ある人物が別の職能領域へ異動した場合は、新しい領域に必要な専門知識を新たに吸収することが求められる。

もう一つの軸である「意思決定力」とは、直面する経営問題に対して責任者として判断する力や実行する力を指す。この力は、自分の頭の中にある情報やこれから入ってくる情報をさまざまに組み合わせ、そこから新しい情報を構築していくことが要求されるときに必要となる。

経営能力を高めるには、専門知識の獲得と意思決定力の育成が必要であるが、それじれ有効な育成方法が異なる。専門知識の獲得には知識のある人から知識を持っていない人へわかりやすくその知識を伝達することが有効である。それを効率的に可能にする教育方法として講義形式の授業が挙げられる。

一方、意思決定力は力についての知識を獲得してもその力を有効に使うことはできない。ではどうしたらよいのか。それには、「修羅場」を数多く踏むことが有効であるといわれている。ここでいう修羅場とは自分の将来に大きく関わり、かつ困難な仕事を経験することであり、成功した時には自分が大きく成長できる類いの仕事経験のことを指している。この経験を教室の中でも可能とする教育方法の一つとしてケースメソッドと呼ばれる教育方法(実際の経営活動の様子が書かれた教材を用いて討論形式で授業を進めていく教育方法)が挙げられる。

このように、経営能力を高めるためには専門知識の獲得と意思決定力の育成が必要であり、それぞれ効果的な教育方法が異なっていることをみてきた。両者のバランスを適切にとり、経営能力を向上させていくべきかを考え、目的にあった教育方法を取り入れることで、企業はより効果的に人材の価値を高めていくことが可能となるといえよう。

准教授 加藤 尚子

専門:組織行動

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