骨格筋は重力に抗して力を発生する器官です。そのために、重力にこうした活動の減少あるいは消失は骨格筋に退行性変化をもたらします。一般に、こうした活動量の減少により引き起こされる骨格筋の退行性変化を「廃用性筋萎縮」と呼んでいます。
その一方、萎縮した骨格筋であっても適切なリハビリテーションにより形態的かつ機能的に回復することはよく知られています。この萎縮筋に対するリハビリテーションは、骨格筋の活動量を徐々に増大させることと捉えることもできます。
つまり、骨格筋は自身の活動量あるいはその質に応じて形態的・機能的に見事に適応する可塑性に富んだ器官であると考えられます。この骨格筋の有する可塑性の背景には、骨格筋組織幹細胞である筋衛星細胞(筋サテライトセル)と呼ばれる細胞が大きな鍵を握っています。
そこで、廃用性筋萎縮とそのカウンターメジャーについて、筋衛星細胞の機能を中心にこれまでの私達の研究結果を基に講演しました。私達の研究成果が、リハビリテーションの発展に寄与できれば幸いです。